カート道の救済、ラフを避けて反対側へ出せる?|ゴルフルールのトリビア⑩

秋のコースの舗装されたカート道に白い球が止まり、道の脇にラフがある説明イラスト

ゴルフルールのトリビア|第10回

球が舗装されたカート道に止まりました。道から離れたいのに、一番近くで打てる場所は深めのラフ。反対側にはきれいなフェアウェイが見えます。今回は障害を避ける救済と、ライを選び直すことの違いを確認します。

Q. ラフを避けて、反対側のフェアウェイへ出していい?

  • 個人のストロークプレー。球はジェネラルエリアにある舗装されたカート道の上。道は動かせない障害物として扱われる。
  • 通常の合理的なストロークを想定した完全な救済のニヤレストポイントはラフ側。反対側のフェアウェイにある候補地は、正しい救済エリアの外にある。
  • まだ球を拾っていない。芝が短く打ちやすいことを理由に、そのフェアウェイの候補地へ罰なしで出そうとしている。特別な救済やプレースを認めるローカルルールはない。
答えと正しい処置を見る

ラフを避けたいという理由で、反対側の救済エリア外を選ぶことはできません。

罰なしの救済は、完全な救済のニヤレストポイントを基点に受けます。打ちやすさで基点を選び直すものではありません。ただし、正しい救済エリアにフェアウェイが含まれるなら、条件を満たすその部分へドロップすることはできます。エリア外へ出した球を打つと誤所からのプレーとなり、ストロークプレーでは2罰打。重大な違反なら訂正も必要です。

根拠:規則16.1b、規則14.7a・14.7b。マッチプレーの誤所からのプレーは、そのホールの負けです。

救済の基点は、芝の打ちやすさで選ばない

ニヤレストポイントを考えるときは、その道がなければ行ったはずのストロークを想定します。球の位置だけでなく、クラブとスタンス、スイングのための空間まで含め、道の障害がなくなる最も近い場所を見ます。ホールへ近づく場所や、別のコースエリアを基点にはできません。

「一番近い」は、球だけを道から出せばよいという意味ではありません。球が芝にあっても、予定した構えで足が道にかかるなら完全な救済ではありません。反対に、近くに道が見えるだけで、球・スタンス・スイングの障害がない場合は、この理由での救済はありません。

拾う前から始める、救済の3ステップ

  1. STEP道の障害とローカルルールを確認

    球が道に触れている、または意図するスタンスやスイングが道の物理的な障害を受けるかを確認します。今回はジェネラルエリアの球で、道は動かせない障害物。不可分な物とする指定や、通常の扱いを変えるローカルルールはない場面です。

  2. STEP拾う前に、完全な救済の基点を比べる

    拾い上げる前に、その道がなければ使うクラブと打つ方向を考え、構えを再現して候補地を比べます。完全な救済となり、元の球の場所から最も近く、ホールに近づかないジェネラルエリアの地点が基点。ラフかフェアウェイかでは決めません。

  3. STEP正しいエリアへドロップする

    基点から1クラブレングス以内で、基点よりホールに近づかず、道の障害が完全になくなるジェネラルエリアへ、元の球か別の球を膝の高さからドロップします。球はその救済エリア内に落ち、止まる必要があります。計測は、そのラウンドで持つパター以外の最も長いクラブを基準にします。

コーチと確認する、球より先に見る足元

生徒

生徒:せっかく救済を受けるのに、ラフへ行くのは損な気がします。フェアウェイ側ではだめですか?

コーチK

コーチK:道からの障害をなくすための救済だからね。打ちやすい側を自由に選ぶのではなく、最も近い完全な救済のポイントからエリアを決めるんだ。

生徒

先に球を拾ってから、思っていた場所と違うと気づいたら困りますね。足も道から外れるか、先に構えて確かめたいです。

コーチK

その順番が分かりやすいね。間違った場所へドロップしても、まだ打っていなければ規則14.5で訂正できる。迷ったまま打たず、元の位置と意図したストロークを説明して競技委員へ確認しよう。

4つの場面で、道からの救済を比べる

カート道の脇の長いラフにある白い球の説明イラスト

最も近い場所がラフ

完全な救済のニヤレストポイントがラフになる例。芝が長くても、それだけで反対側へ基点を変更できません。正しい救済エリア内に短い芝があるかどうかは、その後に確認します。

球は芝にあるが片足がカート道にかかるゴルファーの足元の説明イラスト

球は芝でも、足が道に残る

球は芝へ出たものの、意図するスタンスでは片足が道にかかる例。球だけでなく足元にも障害が残るため、完全な救済にはなっていません。道から離れればどこでもよい、という処置ではありません。

両足と白い球がカート道から離れたラフにある説明イラスト

球も足も道の障害がない

球・スタンス・意図するスイングのすべてから道の障害がなくなる例。さらに正しい基点、1クラブレングス、ホールに近づかない範囲などを満たして初めて、適切な救済となります。図の見た目だけで距離を決めないことも大切です。

フェアウェイの球の先でカート道が横切り、球の周囲に道の障害はない説明イラスト

道がプレーの線にあるだけ

球はジェネラルエリアにあり、道が先のプレーの線にあるだけの例。球・スタンス・スイングへの物理的な障害がなければ、通常の規則16.1では救済されません。グリーン近くの障害物などに特別なローカルルールがある場合は、その条件を別に確認します。

今日のひとこと

救済は「打ちやすい所」ではなく、「障害がなくなる一番近い所」から。

先に球を拾うより、候補地で一度構えてみる。そのひと手間で、足が道に残る見落としを減らせます。基点をティーなどで示しておくと、救済エリアを共有しやすくなりますが、マークしなかったことだけで直ちに罰になるわけではありません。大切なのは、規則に合った場所からプレーすることです。

2回ドロップしても救済エリアの外へ。次はどうする?|ゴルフルールのトリビア⑦では、正しく落とした球が外へ転がった後の手順を確認できます。

OBの白杭、スイングの邪魔なら抜いていい?|ゴルフルールのトリビア⑨では、カート道とは異なり、邪魔でも罰なしの救済がない境界物を取り上げています。

根拠:R&A 規則16.1a・16.1b、R&A 定義の詳説「完全な救済のニヤレストポイント」、JGA ゴルフ規則のオフィシャルガイド(定義・規則14.3・14.5・14.7・16.1)、R&A/USGA 追加の詳説(2026年10月2日更新)。確認日:2026年11月1日。

本記事は、舗装された道が動かせない障害物で、救済が認められる合理的なストロークを前提とした説明です。採用ローカルルールと実際の位置関係を確認し、迷ったら打つ前に競技委員へ相談してください。補足:アイキャッチ・比較図は説明用イラストで、距離を示す実測図ではありません。